「Rs'Ink.」のファウンダーねぎぽんがはじめて企画したワークショップが「谷中書生カフェ」でした。2011年のことです。
「谷中書生カフェ」は文学作品の読書会をベースとした対話の場でした。世に「読書会」なる場は無数にあっても、読まれているのはビジネス書や自己啓発書ばかりで、文学作品を読める場は滅多にありませんでした。
泉鏡花や谷崎潤一郎、梶井基次郎や坂口安吾といったいわゆる「文学作品」が好きという趣味を同じくする人が集まれる場として「谷中書生カフェ」はデザインされています。「谷中」を選んだのも文学作品がしっくりする街だと感じたからです。
2011年の「谷中書生カフェ」は、泉鏡花、エドガー・アラン・ポオ、川端康成、アルベール・カミュ、坂口安吾、シェイクスピアと、洋の東西を問わず、古典作品を読む場として月に1回のペースで10回続けることができました。
参加者には課題とした作品を事前に読んできてもらって、読んで感じたこと、考えたことをもとに対話をしてもらうという構成はたいへんシンプルなデザインにしていました。
ただ、対話については、初めの30分は筆談だけで対話してもらったり、マインドマップを書きながら対話をしてもらったりと、当時としては随分と思い切ったデザインにしていました。
その当時はワークショップ型の学びが世間にまだ浸透していないころでした。したがって、蘊蓄と知識にまかせて一方的に話したい人が来てしまうという読書会にありがちな傾向を弱め、誰かひとりだけが話しつづけるのではなく、知識のある人も、初めて読んだ人も、対等に対話のできる場をデザインとして構成する必要があったというわけです。
多様性を感じられる場を目指す現在の「谷中書生カフェ」はレゴ®のブロックを活用したワークショップとして開催したりもしました。レゴ®のブロックを使うことで、言葉にならない経験やもやもやとしたイメージも簡単に表現することができますし、口下手で人前で話すことが苦手な方でも気楽に参加いただける雰囲気を用意することもできます。
病気を経験したサバイバーだけでなく、ご縁あって、性的マイノリティとしての経験をしてきたLGBTの方々とも関わらせていただいているので、同じ理由で「Survivor/Rainbow frendly」な場として今後は開催していきたいと考えています。